中学生になった少年は、一人の少女と仲良くなった。
少女はあまり体が丈夫ではなく、線の細さが病弱的に見えたが、
持ち前の気さくな性格のおかげで、少年を含めた周囲の人とも
打ち解けるのは早かった。

同じクラスが二年も続き、話す機会も多かったせいもあり、
少年はその少女への想いを募らせはじめた。

その想いが恋心なのか友情なのかどうかわからず、
勉強も運動もそれなりにしかこなせなく、
あまり自分への自信がない少年にとって行動へ移す事にも繋がらず、
ただ時間だけが過ぎ、なんとなく地元の高校への進学を決め、
中学を卒業したのだった。

流されるまま受験日をむかえ、ろくに勉強もしないまま試験を受けた。

合格発表くらいは学校で見るものだろうと思い、
正面玄関に張り出された貼り紙に前へ行くと、
あの少女が友達数人と一緒に、嬉しそうな顔をしていた。

ああ、彼女もこの高校に受かったのか

春。
高校に進学できた少年は、体育会系の荒っぽいクラス担任に誘われ、
担任が顧問となる運動部へと入った。

するとそこには、またあの少女の姿があった。

同じ部活でお互い努力する環境は少年にとって、
中学の時よりも少女を近い存在へとさせた。

荒っぽい顧問についていけず、少女と一緒に入部した友人が
一人、また一人と辞めていった。

その辞めていく友人の相談を受けたのをきっかけに、
帰り道を一緒するようになった。

日が完全に落ちるまで部活動をし、夜道を少女の家の近くまで送る毎日が続き、
少年は少女との距離をさらに近く感じた。

高校も三年目となり、進路を決める時期になった。

　少年「俺、オヤジの家業の事もあるし、市内の専門学校へ行こうと思うんだ。
　　　　　　おまえは進路決めた？」

　少女「うん、看護婦になろうかなぁと」

　少年「おーすげえな」

　少女「でもね、看護学校が県外にしかなくて…」

　少年「そっか、寂しくなるな…」

　少女「そだね…」

言葉がうまく思いつかなかった

少女にとって、少年の存在はどのような位置なのか
少年にとって、少女はどのような存在なのか
確認することも出来なかった

少年は少女の意思を尊重するようなふりをしたまま、高校の卒業式をむかえた。

専門学校の勉強もあまり身が入らない日々。
高校卒業から数ヶ月後、あの彼女から手紙が届いた。

元気でいますか？程度の軽い内容だったが、
とても嬉しかった。

それから何回か手紙の遣り取りは続き、
携帯電話をお互い持つようになり、メールアドレスも交換した。

だが少年は、お互いの距離が物理的以外にも離れつつある事を感じていた。

彼女もそう感じ取っていたのだろうか

メールもあまり送らなくなり、その後連絡も取らなくなった。

少年は大人になった。

それまで数人の女性を付き合ったが、いずれも長くは続かなかった。

そのうち親しくなった女性との距離を"友達"の位置で止めるようになった。

異性との関係を"友達"で止めるようになっても、
どこかで線の細い少女のような女性との恋愛を願う自分がいた。

彼女との関係に未練があるのか

彼女は今、関東某所にいるはず。

東京都内でばったり会ったら、自分はどうするのだろう

そんな事を考えずにはいられない

し○さん 「連絡しろ！　会いにいけ！！」

そんなことできっかくそがああああああああ